人事担当者が社員に読まれたくない「性格診断テスト」の話
みなさん こんにちは
今日は「人事担当者が社員に読まれたくない「性格診断テスト」の話」をしたいと思います。
ところで、あなたは「会社で」性格診断テストを受けたことはありますか?
(ここでは、差し障りがあるので、個別のテスト名称は出しませんが、)実施される場合の多くは、「社員個人の自己理解を促し、改善すべき点を改善しつつ、さらなる成長を促進するため」等といった理由づけとともに、全社員を対象に、一斉にWebテストのURLがメールで送信され、受験期間がすぎてしばらく経つと個別に人事等から結果が送られてくる、といった流れかと思います。
「あぁ!あれね!」と思い出した方も多いかもしれません。または、一度もやったことがない方もいらっしゃるかもしれません。
今日の記事では、「裏話」も含めて書いていきたいと思います。ぜひ、お楽しみください。
ところで、会社指定の「性格診断テスト」を真面目に受けたりしています…???
ところで、会社指定の「性格診断テスト」を真面目に受けたりしています…???
突然ですが、会社指定の「性格診断テスト」を受けたことがある方に質問です。
Q:その時、あなたは、真面目にテストを受験しましたか?
「………えっ?質問の趣旨がわからないのですが…。」と思ったみなさんも多いと思いますので、まずは、テストの全体の流れから、改めてご説明したいと思います。
(※以下は、あくまで私の体験したものの話であり、会社によって異なる運用がなされている可能性があることをあらかじめご了承ください。)
「性格診断テスト」の全体の流れ…あなたには見えていないもの
それでは、テストの全体の流れを見ていきましょう。
記事の冒頭で、以下のように書きました。
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実施される場合の多くは、「社員個人の自己理解を促し、改善すべき点を改善しつつ、さらなる成長を促進するため」等といった理由づけとともに、全社員を対象に、一斉にWebテストのURLがメールで送信され、受験期間がすぎてしばらく経つと個別に人事等から結果が送られてくる、といった流れかと思います。
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これは、受験者であるあなたの目線です。
では、この内容(テスト受験後)に「人事の目線」を付け加えてみましょう。
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全社員を対象に、一斉にWebテストのURLがメールで送信され、受験期間がすぎてしばらく経つと、テストを提供している業者さんから、人事に対し、
①個人ごとのデータ(人事用/個人への返送用)
②全国・業界別等の受験者のデータ(集計・要約されたもの)
③当社の受験者のデータ(集計・要約されたもの) 等
が送られてくるので、「①個人への返送用」のデータを個人とその上司に送付・案内等する。
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いろんな「データ」が出てきましたね。
つまり、人事にはいろいろなデータが渡っていて、これらを使ってあなたが知らない動きをすることがある、ということなのです。
あなたに送られてきた「結果」と人事が持っている「結果」は違う
では、「あなたが知らない人事の動き」とは一体どのようなものなのでしょうか?
先ほど、①個人ごとのデータ(人事用/個人への返送用)と書きました。つまり、「個人ごとのデータ」には2種類あり、受験したあなたでも見せてもらえない「人事用」があるということです。
具体的には、
・全国・業界別・当社等の大きな括りの中で集計されたデータ(上記②③)に業者さんが「適正範囲」を設定し、その範囲を「外れている人」の一覧表
・短所がはっきり書いてある個人ごとのデータ
が含まれています。
そして、人事はこちらを元に業務を行なっています。また、これらのデータを「あなたの上司に開示するかどうか」は「人事の判断」となっています。
(ちなみに、「個人への返送用」には、基本的に褒め言葉が用いられ、短所もやさしく指摘されています。本人が読みやすく、受け入れやすい言葉使いです。一方で、「人事用」は、無機質な言葉遣いで短所もはっきり指摘されています。)
ところで、私は最初に、お尋ねしましたね?
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突然ですが、会社指定の「性格診断テスト」を受けたことがある方に質問です。
Q:その時、あなたは、真面目にテストを受験しましたか?
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(あのう…実は、みんなが真面目に受けているわけではありません…。)
「………えっ。」と思ったあなたに再度質問です。
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上記の「人事には別のデータがあって、業務はそれを元に行なっている」ということを知っている人がいるとしたら、その人たちはどんな気持ちで、どのようにテストを受けるのでしょう?
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「………あっ。」と思ったそこのあなた。
そうです。実は、結構な数の人がそのことを知っており、知っているが故に「かわいいは、作れる。」(某シャンプーのCM)を実践しています。
つまり「(会社にとって扱いやすくて)かわいい(と思われるタイプの社員が出しそうなテスト結果)」を、結構な数の人が「作」っているのです。
そして、これらの行動が、②③のデータに影響を与えてしまう可能性をご理解いただけると思います。
実は、私は、ある人事の方からはっきり言われたことがあります。
「真面目に受けてはいけません。」(私:………えっ。)
つまり「そういうこと」なのですが、ここで一つ問題があります。
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②③のデータから「外れている人」と指摘されてしまったらどうなるのでしょうか?
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残念ながら、これには私も確たる答えがありません。
最終的に、会社・上司・人事等がどのように認識し、どのように取り扱うのか?という個別具体的な話になります。
つまり、
・データを超えて、日常のあなたの言動を元にあなたを正しく理解し、
・データには表れていない部分を補ってあなたを見ていてくれる、
・そんな「愛」のある社長・上司・人事なのかどうか?
という点にかかってくるのではないかと思っています。
そして、多くの会社の現実的な性格診断テストの「使われ方」を見ていると、
・これからは個人で積極的に自分を理解し、さらに積極的に「長所」を伸ばしていくべきなのではないか、
・むしろ、それは自身の大切な人生のために「自己責任」として行うべきではないか、
と改めて思います。
世の中には、自己理解のためのツールがたくさんあります。(ストレングス・ファインダー®もその一つです。)ぜひ、よりよい人生と自分自身のために、活用してください。
ある業者さんから聞いた話
さらに、これはこのテのテストの業者さんから聞いた話です。
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業者さん 「弊社のテストは、別の会社が作ったテストの表現を変えただけですので、自信を持っておすすめできるちゃんとしたテストです。」
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………はい?
そもそも、このようなテストは、様々な心理学的知見、多くの方の実際のデータやその検証がしっかりとした裏付けにあってこそのものです。
しかし、その業者さんは、元になるテストを稚拙にいじり、バレないように表現を変えて提供(表現も大切なのです)していることを「自信を持っておすすめできるちゃんとしたテスト」と言っているのです。
(※このような事例はあくまで「特殊」であり、ほとんどはきちんとされた会社さんだと思います。委託される際にご確認されることで、このような業者さんを回避することは十分可能だと思っています。)
私は、とても信じられない思いでこの話を聞きました。「人というものをどのように考えているのか?」という怒りもわきましたが、「やはり、自分のことは自分できちんと知るようにしないといけないな。」と思わされる出来事でした。
まとめ
いかがでしたか?
今日は、「人事担当者が社員に読まれたくない「性格診断テスト」の話」をお伝えしました。
ショックを受けた方もそうでない方も、今日も元気に頑張っていきましょう!